使っている式

I = k · ΔT^0.44 · A^0.725       A は断面積 [mil²]

k = 0.048  外層(表面)
k = 0.024  内層

逆に解くと  A = (I / (k · ΔT^0.44))^(1/0.725)
線幅 = 断面積 / 銅厚          1 oz = 34.8 µm = 1.37 mil

1A、温度上昇10°C、1oz、外層なら必要断面積は約 16.3 mil²、配線幅は約 0.302mm(11.9 mil)です。

内層は外層の約半分しか流せません

係数が 0.048 と 0.024 で倍違います。指数 0.725 を考えると、同じ電流を同じ温度上昇で流すには 内層は外層の 2^(1/0.725) = 約2.60倍の断面積が必要になります。 内層は樹脂で囲まれていて放熱できないためです。電源ラインを内層に引くときは注意してください。

この式の限界をはっきり書きます

IPC-2221 の曲線は1950年代のデータに基づく古い経験式で、次のものを一切考慮していません。

  • 近くにある銅ベタ(グラウンドプレーン)による放熱
  • 基板の熱伝導率と板厚
  • ビアによる熱の逃げ
  • 周囲の空気の流れ

そのため実機とはずれます。現行規格は IPC-2152 で、これらを織り込んだ チャートになっています。条件によって必要な配線幅は IPC-2221 より細くて済むこともあり、 逆に足りないこともあります。量産設計や安全に関わる回路では IPC-2152 の正本を確認してください。

ここでの数値は試作・ホビー用途の目安として使ってください。適用範囲は外層35A・内層17.5A、 温度上昇100°C、線幅400mil までで、それを超えると警告を出します。

温度上昇より電圧降下が問題になることが多い

幅は温度上昇で決めますが、実際に困るのは電圧降下のほうが多いです。銅の抵抗率は 1.68×10⁻⁸ Ω·m、温度係数は 0.00393/°C なので、動作温度が上がると抵抗も増えます。 このツールでは周囲温度+実際の温度上昇で補正した抵抗を出しています。

R = ρ(T) · L / A      ρ(T) = ρ20 · (1 + α(T − 20))

モータ電源のように大電流が流れる線では、温度上昇に余裕があっても電圧降下で 性能が落ちます。モータの駆動力は電源電圧に比例するので、 ここでの損失がそのまま加速度に響きます。

含んでいない要素

  • ビアの電流容量。配線幅が足りていてもビアがボトルネックになります
  • 交流での表皮効果と近接効果
  • ヒューズとしての溶断特性(短時間の過電流耐性)
  • 絶縁距離。同じ規格に沿った沿面距離・空間距離の要求は別に確認してください
  • はんだメッキやレジストによる放熱の変化