CIRCUIT / オペアンプ
オペアンプ回路計算ツール
ゲインを出すだけの計算機ではありません。目標ゲインから実在する抵抗を逆引きし、公差でゲインがどこまで振れるか、その帯域で本当に信号が通るか、オフセットが出力の何%を占めるかまで同時に確認できます。
対応している構成
| 構成 | ゲイン | 入力インピーダンス | 逆引き |
|---|---|---|---|
| 非反転増幅 | 1 + Rf/Rg | 非常に高い | 対応 |
| 反転増幅 | −Rf/Rg | Rg | 対応 |
| ボルテージフォロワ | 1 | 非常に高い | — |
| 差動増幅 | (Rf/Rg)(V2 − V1) | 2Rg | 対応 |
| 反転加算 | −Rf(V1/R1 + V2/R2) | 各入力抵抗 | — |
| I-V変換 | −Iin × Rf | ほぼ0(仮想接地) | — |
| 計装増幅器 | (1 + 2R1/Rg)(R3/R2) | 非常に高い | — |
信号ゲインとノイズゲインは別物です
反転増幅のゲインは −Rf/Rg です。しかし帯域と入力オフセット電圧の出力換算を決めるのは このゲインではありません。非反転入力側から見たゲイン 1 + Rf/Rg のほうで、これを ノイズゲインと呼びます。
Rf = 20kΩ、Rg = 10kΩ の反転増幅なら、信号ゲインは 2 倍ですがノイズゲインは 3 倍です。 GB積 1MHz のオペアンプで閉ループ帯域を見積もると、500kHz ではなく約 333kHz が正解です。 ゲインだけを出す計算機を使っていると、ここで必ず見積もりを外します。
閉ループ帯域 f = GB積 / ノイズゲイン
Vos の出力換算 = Vos × ノイズゲイン
Ib の出力換算 = Ib × Rf公差でゲインはどこまで振れるか
E96(±1%)の抵抗2本で非反転増幅のゲインを 2 倍にしたとき、ゲインの誤差は ±1% ではありません。 Rf が上振れして Rg が下振れする最悪ケースで 1 + 10.1/9.9 = 2.0202、逆で 1.9802 なので±1.01% です。ゲインが大きくなるほど Rf/Rg の項が支配的になり、 誤差は ±2% に近づいていきます。
このツールでは最悪ケースと統計的な1σを並べて出しています。1σ は一様分布を仮定した 二乗和平方根で、抵抗値が独立にばらつくなら実測はこちらに近くなります。最悪ケースだけで 設計すると過剰になるので、両方を見て判断してください。
スルーレートは帯域とは別の制約です
帯域が足りていても、出力振幅が大きいとスルーレートで先に頭打ちになります。正弦波の最大 変化率は 2πf·Vpeak なので、歪みなく出せる上限周波数はこうなります。
f_max = スルーレート / (2π × Vpeak)スルーレート 0.5V/µs のオペアンプで振幅 2V を出すなら、上限は約 40kHz です。帯域が 333kHz あっても、40kHz を超えると波形が三角波に近づきます。この2つは別に確認する必要があります。
入力例
- センサ出力を ADC のフルスケールに合わせる:目標ゲインを入れて逆引きすると、 E96 で誤差 0% の組み合わせが出ることがよくあります。同じ誤差なら 10kΩ 前後の値を優先して 並べています(低すぎるとオペアンプの出力電流が増え、高すぎるとバイアス電流と雑音が効きます)
- 3.3V 単電源で使う:正電源 3.3V、負電源 0V、レール余裕 0.2V を入れると、 出力が 3.1V を超えた時点でクリップ警告が出ます。単電源では入力が 0V 付近に来たときも 下側で張り付くので、バイアスの検討が必要です
- 高抵抗の I-V 変換:Rf = 1MΩ、バイアス電流 10nA なら、それだけで 出力に 10mV のオフセットが出ます。FET入力のオペアンプを選ぶ理由がここで数字になります
含んでいない要素
- 有限の開ループゲインによるゲイン誤差(低周波では通常無視できます)
- CMRR・PSRR。差動増幅の同相除去は抵抗4本の相対精度で決まります
- 入力容量と帰還抵抗が作る極、位相余裕。I-V変換では補償容量がほぼ必須です
- 抵抗の熱雑音、オペアンプの電圧雑音・電流雑音
- オフセット電圧とバイアス電流の温度ドリフト
- 出力電流能力、容量負荷による発振
理想オペアンプに1次のGB積モデルを載せただけの計算です。実機で追い込むときは、 データシートの開ループゲイン特性と位相余裕を必ず見てください。