2019 Classic Micromouse — A's Lab Ⅱ

華金

HUÁ JĪN / ファージン

台湾大会に向けて製作し、名前は現地の人が読みやすい中国語読みで命名。 2月に基板を起こし5月に走り始めたこの機体は、シーズンを地区大会で戦い抜き、 全日本マイクロマウス大会2019 クラシック競技で優勝を果たした。

6.2m/s最高速度
28m/s²最大加速度
73g重量
ネガティブキャンバー
優勝全日本大会2019
SCROLL

Machine

吸引式2輪クラシックマウス

クラシックマウス 華金 実機写真
華金 — LiPo 3S(12.6V) 吸引式2輪マウス L100 × W68 × H25 mm

東日本地区大会で0.1秒未満の差で3位に敗れたことをきっかけに、シーズン途中でマシンの魔改造を決断。 リポバッテリーを2Sから3S化し、モータードライバの定格を超える12.6Vで駆動するという攻めた構成に踏み切った。 吸引モーターのマウントを変更してバッテリー搭載位置を工夫し、わずかながら低重心化も図っている。

2輪マウスはとにかく重心バランスが命。重心を完全にタイヤ軸上に載せてシーソー状態を実現し、 吸引スカートもタイヤに吸引力がそのまま乗るよう設計。バッテリーなど重い部品は旋回中心に寄せて 低イナーシャ化を徹底した。

マイコン
RX631 (100pin)
ジャイロ
MPU6000
エンコーダ
AS5145B
壁センサー
SFH-4550 + ST-1KL3A
駆動モーター
φ8.5 × 20mm コアレス(選別品)
吸引モーター
φ10 × 15mm コアレス(選別品)
ドライバ
DRV8835(駆動)/ AO3400(吸引)
ギヤ (M0.3)
スパー70T / ピニオン15T / エンコーダ38T
バッテリー
LiPo 3S 12.6V 150mAh 30C
基板
0.8mm厚(Eagle設計 / Elecrow製造)
キャンバー角
3°(ネガティブ)
重量 / サイズ
73g / L100 W68 H25 mm

Engineering

設計のこだわり

キャンバー角と旋回時の荷重ベクトルの解説図

Camber

キャンバー角 3°

旋回時、外輪には自重・吸引力・遠心力の合成で斜めの荷重がかかる。タイヤをこのベクトルに合わせて傾けることで、ニュートラルキャンバーを超えるグリップを引き出す。3°という数字はR35 GT-Rの標準値へのオマージュ。

2層構造の吸引スカート

Downforce

2層吸引スカート

CNCで0.7mm厚に削り出した紙フェノールの1次スカートに、帯電防止チャック袋を用いた0.1mmの2次スカートを重ねた計1.1mm構造。両面テープの厚み0.15mmすら車高計算に含める精度で仕上げている。

重量部品を旋回中心に寄せた低イナーシャ設計

Low Inertia

低イナーシャ設計

最も重いバッテリーを旋回軸上に配置し、軽いエンコーダはギヤを追加してでも外周へ。重い部品をひたすら旋回中心に寄せることで、旋回の切り返しが軽い機体に仕上げた。

壁センサーの配置図

Sensors

擬似デュアル壁センサー

横壁は発光LED2つに対し受光素子は1つ。発光タイミングの切り替えで擬似的に2センサーとして運用する。同角度センサーの差分から柱の検出も容易になり、壁切れ位置の使い分けを可能にした。

速度追従とモータ印加電圧のグラフ

Acceleration

多段加速度制御

速度域ごとに加速度を3段階に切り替え、デューティ比100%付近を維持し続ける制御。0.7秒の直進を1msごとに記録・解析し、電源の限界ではなくタイヤのグリップ限界と対話しながらパラメータを詰めた。

3S化改造中のマシン

Fail-safe

攻めた設計を守る保険

定格を超えて回すからこそフェイルセーフは確実に。左右タイヤの速度差が50ms間9m/s以上になったら停止させる処理で、持ち上げ時の暴走や高速空転からモーターを守る。

Season 2019

戦績 — 全日本の頂点へ

金沢草の根大会 クラシック競技
第3位
関西地区大会 クラシック競技
第4位
台湾大会 クラシック競技
準優勝
東日本地区大会 クラシック競技
第3位
支部サーキット競技
準優勝
全日本学生大会 クラシック競技
特別賞
九州地区大会 クラシック競技
優勝
中部地区大会 クラシック競技
特別賞
全日本大会 クラシック競技 優勝
2020 APEC MICROMOUSE CONTEST 招待
全日本マイクロマウス大会2019 表彰
全日本マイクロマウス大会2019 — クラシック競技 優勝

4走目でクラッシュするも、吸引スカートの捲れに気づき冷静に修正。同じパラメータで再走し完走を決めた。 シーズン中は地区大会を巡って上位勢の走行動画を撮り集め、自分の走りと並べて比較しながらパラメータを練り上げた。 「常に最新の情報収集が優勝の鍵。最後は心理戦」。

Telemetry

全日本大会 使用パラメータ

優勝を決めた本番の走行パラメータを公開。相手のレベルに合わせて2段階の最短走行パラメータを用意し、決勝の駆け引きに臨んだ。

RUN 2 — 最短走行学生上位勢・海外勢 対抗パラメータ
最高速度5.5 m/s
加速 0–3.8 m/s20 m/s²
加速 3.8–4.8 m/s18 m/s²
加速 4.8–5.5 m/s15 m/s²
減速20 m/s²
旋回 90° / 180°2.1 / 1.8 m/s
旋回 45° in / out1.75 / 2.0 m/s
旋回 135° in / out1.7 / 1.7 m/s
V90°1.7 m/s
RUN 3–5 — 最短走行宇宙人 対抗パラメータ(優勝走行)
最高速度6.0 m/s
加速 0–3.8 m/s25 m/s²
加速 3.8–4.8 m/s18 m/s²
加速 4.8–6.0 m/s13 m/s²
減速25 m/s²
旋回 90° / 180°2.3 / 2.0 m/s
旋回 45° in / out2.1 / 2.3 m/s
旋回 135° in / out2.0 / 1.9 m/s
V90°1.9 m/s
MAX PARAMETER本番未使用の限界セッティング
最高速度6.2 m/s
加速 0–3.8 m/s28 m/s²
加速 3.8–4.5 m/s23 m/s²
加速 4.8–5.5 m/s17 m/s²
加速 5.5–6.2 m/s13 m/s²
減速28 m/s²
旋回 90°2.3 m/s
旋回 45° in / out2.1 / 2.3 m/s
旋回 135° / 180° / V90°2.0 m/s

On Track

走行動画

全日本大会2019 本番走行クラッシュからの立て直しを含む、優勝を決めた5走。
MAXパラメータ走行本番では温存した最高6.2m/s・28m/s²の限界セッティング。金沢月例会にて。